白内障手術費用はレンズ選びで変わる?費用を抑えるポイントも解説

白内障手術は視力を改善するための治療ですが、レンズによる違いや保険診療と自費診療で費用がどのように変わるのかご存じでしょうか。
手術前に知っておくと、レンズ選びや費用を抑えることにもつながります。
この記事では、レンズの種類による費用の違いや、さまざまな制度を活用して負担を軽減する方法などを解説します。
白内障手術を検討している方、レンズ選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
白内障手術とは

白内障手術は、濁ってしまった水晶体を取り除き、代わりに人工の眼内レンズを挿入する治療です。
ここでは、手術の流れや費用に影響する診療形態の違いについて解説します。
白内障手術の流れ
白内障手術では、術前検査で視力や眼圧を測り、網膜や角膜の状態を確認することから始まります。
他の目の病気の有無や、手術が必要かの診断をしたうえで、挿入する眼内レンズの度数を決定します。
手術は局所麻酔下で行われ、濁った水晶体を超音波で砕いて吸い出し、眼内レンズを挿入します。
片目あたりの所要時間は約15~30分で、身体の負担が比較的少ない手術です。
クリニックや状態にもよりますが、多くの場合日帰り手術に対応しています。
術後は数日~数週間かけて見え方が徐々に安定していきますが、その間点眼薬の使用や定期検診があるため、医師の指示に従いましょう。
保険診療と自費診療の違い
白内障手術は、基本的に公的医療保険が適用されます。
ただし、すべての費用が保険適用されるわけではなく、選択する眼内レンズや追加オプションによっては、自費診療となる部分が生じます。
例えば、単焦点レンズを使用する標準的な白内障手術は保険適用となり、治療費の一部を自己負担する形です。
一方、多焦点眼内レンズの場合は、自費診療になるものと、後述しますが選定療養といって、一部が保険適用されるケースもあります。
自己負担割合の違い
医療費の自己負担割合は、年齢や所得区分によって異なります。
例えば、70歳未満の方は原則3割負担ですが、70歳以上は所得により1割・2割負担となるケースがあります。
白内障手術の費用は、自己負担割合が影響するため、同じ治療内容でも年齢や割合の差により支払額が変わる点を理解しておきましょう。
また、高額療養費制度を活用することで、支払い上限を超えた分が後から戻ってくることもあります。
レンズの種類による費用の違い

白内障手術で使用する眼内レンズは複数のタイプがあり、選ぶレンズによって費用が大きく変わります。
レンズの特性によって見え方も違い、保険適用の対象かも異なるため、特徴を理解したうえで選択することが重要です。
単焦点眼内レンズ
単焦点眼内レンズは、白内障手術で広く使用されている基本的なレンズです。
遠く、または近くのどちらか一方に焦点を合わせるタイプで、保険適用で扱われるため費用を抑えやすいのが特徴です。
焦点が1か所に限られるため、老眼のある方は、術後に老眼鏡が必要になる場合があります。
レンズ代は保険適用内で負担割合に応じて決まるため、費用が読み取りやすいレンズでもあります。
多焦点眼内レンズ
多焦点眼内レンズは、遠方・中間・近方など、複数の距離に焦点を合わせることが可能なレンズです。
メガネを使う頻度を減らしたい方に選ばれる傾向がありますが、保険適用外で自費診療になる点に注意が必要です。
選定療養制度では、多焦点レンズを使用した白内障手術は、保険診療の部分と自費診療を合わせて追加費用が発生します。
(参照:「保険外併用療養費制度について」厚生労働省)
つまり、手術そのものや単焦点眼内レンズ分までの費用は保険適用され、追加検査や多焦点眼内レンズ代は追加でかかるイメージです。
レンズの種類やクリニックによって費用は異なり、数万円~数十万円の費用差がある場合もあります。
トーリックレンズ
トーリックレンズは、乱視のある方向けに設計されたレンズです。
乱視を補正する構造になっていて、術後の見え方の質に影響します。
トーリックレンズは、保険適用かどうかが、医療機関の区分によって異なります。
多くの場合、トーリックレンズは選定療養として扱われ、乱視矯正部分の費用が追加になる仕組みです。
費用面では単焦点より高額になりやすいため、乱視がどの程度見え方に影響しているのかを術前検査で確認しながら選択しましょう。
その他特殊レンズ
眼内レンズには、その他にも見え方の幅を広げるための特殊レンズがあります。
焦点深度を広く確保する焦点深度拡張型(EDOFレンズ)や、光のにじみを抑える設計のレンズ、ブルーライトカットのものなどです。
また、Add-On眼内レンズと呼ばれる、すでに眼内レンズが挿入されている目に追加レンズを重ねて入れることが可能なレンズもあります。
乱視や焦点距離の補正が必要になった場合に選択でき、既存レンズを取り出さずに補正できる点が特徴です。
特殊レンズはそれぞれが異なる見え方の特性のため、生活スタイルに合わせて選ぶのが重要です。
費用にも幅があるため、事前に医師とよく相談し、自分に合うかどうかを慎重に検討しましょう。
白内障手術費用の目安

白内障手術は、同じレンズを選んだとしても、片目か両目、日帰りか入院かでも費用に差が出てきます。
ここでは、一般的な費用の目安を、イメージしやすいように整理します。
片目と両目の違い
白内障手術は片目ずつ行う場合が多く、費用も片目あたりの値段で計算されます。
保険適用で単焦点レンズを使用した手術では、3割負担の場合、片目の自己負担額は約3~6万円が目安です。
両目を手術する場合は単純に2倍になるわけではなく、術前術後の診察や検査がまとめて行われるため、費用が重複せずに済むケースもあります。
また、両目を短期間に手術する場合と、期間を空けて手術する場合でも支払いタイミングが異なるため、費用が変わってきます。
日帰りと入院の違い
現在は多くのクリニックで日帰り手術が可能ですが、基礎疾患がある場合や術後の経過を慎重に見る必要がある場合、入院が選ばれることもあります。
日帰りでは、手術費用と術後の診察料などが費用の中心となることが一般的です。
一方入院では、入院基本料や食事代などが追加されるため、その分費用がかかる傾向があります。
入院に伴う費用はクリニックにより異なりますが、日帰りと比較すると数万円程度かかるケースがあります。
実際にかかる費用のイメージ
手術の際、実際に支払う費用は、レンズの種類・自己負担額・クリニックごとの料金体系などによって異なります。
以下は、代表的なレンズの種類ごとの費用の目安です。(3割負担の場合)
| レンズの種類 | 保険適用 | 片目の費用目安 | 手術以外の費用例 |
|---|---|---|---|
| 単焦点レンズ | 〇 | 約30,000~60,000円 | 術前検査(約4,000~10,000円)・術後点眼薬・通院費など |
| 多焦点レンズ (自費診療の場合) | なし | 約200,000~500,000円 (選ぶレンズ・クリニックにより差が大きい) | 術前検査(約10,000~30,000円)・術後点眼薬・通院費など |
| トーリックレンズ (選定療養あり) | △ | 約60,000~120,000円 (選定療養の場合追加費用がある) | レンズ追加費用として約20,000~80,000円・術前検査・術後点眼薬・通院費など |
| 特殊レンズ | なし | 約150,000~400,000円 (レンズの種類により変動。選定療養がある場合も) | 術前検査・術後点眼薬・通院費など |
これらはあくまで大まかな目安であり、選ぶレンズの種類やクリニックにより料金体系が異なるため、事前に確認が必要です。
後述しますが、白内障手術で利用できる制度によっても、実際に支払う金額が異なります。
白内障手術で利用できる制度

白内障手術は、公的な制度を活用することで、自己負担額を下げられることがあります。
仕組みを理解しておくと、費用計画が立てやすくなるため、参考にしてください。
選定療養
選定療養とは、保険診療を基本として、一部の高度な医療技術やレンズを追加料金で選べる仕組みです。
白内障手術では、多焦点レンズやトーリックレンズなどが該当する場合があります。
レンズ代や追加手技量を自費で負担しながら、手術そのものは保険で受けられる形です。
希望するレンズの費用がどの程度発生するのかを把握しやすくなるため、制度を理解しておきましょう。
選択肢を広げられる制度ではありますが、自費となる部分はクリニックにより異なるため、事前によく確認しておく必要があります。
高額療養費制度
高額療養費制度は、保険診療で1か月に支払った医療費が一定額を超えたとき、その分が払い戻される制度です。
年齢や所得によって上限額が決まっていて、白内障手術のように医療費が一度にかかるケースでは利用しやすい仕組みです。
例えば、自己負担が3割であっても、上限額は所得に応じて設定されるため、超えた部分については後日払い戻しを受けられます。
高額療養費制度は、窓口で支払う額を抑える限度額適用認定証を事前に取得しておくと、スムーズに利用できます。
一時的な窓口での負担を軽減するためにも、加入している公的医療保険へ申請しておくとよいでしょう。
自治体の高齢者医療費助成制度
自治体によっては、高齢者を対象にした医療費助成制度を設けているところがあります。
対象年齢や所得条件などは地域によって違いがありますが、白内障手術の費用負担を軽くする目的で活用できます。
ただし、年齢や所得、加入している保険などによって条件が違い、全員が対象になるわけではありません。
一部負担金が減額される、一定額を超えた分を助成するなどの制度があり、自治体によって支援内容が異なるため、事前に調べておきましょう。
民間の保険
民間の医療保険や手術保険に加入している場合、白内障手術が給付金の対象になることがあります。
加入している保険の種類によっては、手術給付金や入院給付金が受け取れる可能性があり、自己負担額の軽減につながることがあります。
給付対象となる条件は保険ごとに異なるため、白内障手術が該当するか、多焦点レンズの選定療養部分は対象かなど、事前に確認しておきましょう。
白内障手術の費用を抑えるポイント

白内障手術の費用を抑えるためには、術前の段階で情報を整理し、見え方の希望や負担可能額などを慎重に検討することが大切です。
ここでは、費用を抑えるために知っておきたいポイントを解説します。
自己負担額を確認する
医療費の自己負担額は、年齢や所得区分によって変わる仕組みです。
70歳未満の方は基本的に3割負担ですが、70歳以上では所得により1~2割負担になる場合があります。
また、クリニックによってレンズ費用だけでなく、検査費や手術技術料も異なるため、見積もりを確認して全体像を明確にしておきましょう。
保険適用部分と自費部分を確認し、自己負担額がどれくらいかを大まかにでも把握することが重要です。
同じ月に両目の手術を行う
両目の白内障手術を予定している場合、同じ月にまとめて手術を行うことで費用を抑えられるケースがあります。
これは、高額療養費制度の適用上限が1か月で計算され、月をまたぐと上限額がリセットされるため、自己負担額が多くなりやすい仕組みです。
ただし、目の状態や全身の健康状態によっては、短期間で両目の手術が難しい場合もあります。
両目の手術を同じ月に行えるかどうかは個人差がありますが、制度の仕組みを理解して検討してみましょう。
不要なオプションを避ける
白内障手術では、レンズ以外にもオプションとして追加検査やサービスが案内される場合があります。
例えば、特殊な画像解析検査や、術後に使用する自費点眼薬などです。
レンズ選びでも、特殊レンズや多焦点レンズはさまざまな特徴がありますが、すべての方に適しているわけではありません。
生活スタイルや仕事の内容によっては、保険適用できる単焦点レンズが適しているケースもあります。
レンズの性能だけで判断するのではなく、自分の目的や見え方の希望を考慮して選択することが大切です。
医療費控除の申請をする
白内障手術の費用は、年間(1~12月)の医療費が一定額を超えた場合に利用できる医療費控除の対象になります。
【(実際に支払った医療費の合計額−保険金などで補填される金額)−10万円または所得の5%のどちらか少ない額】の式で医療費控除の対象額が計算できます。(上限200万円)
(参照:「医療費を支払ったとき(医療費控除)」国税庁)
医療費控除を申請すると、所得税や住民税の負担が軽くなる場合があります。
控除対象となる医療費には、手術費用だけでなく、通院にかかった公共交通機関の交通費や処方された薬代なども含まれます。
本人だけでなく、生計を共にする配偶者や親族なども対象になるため、領収書や明細書を保管しておきましょう。
確定申告で申請する必要がありますが、総費用の負担が軽減される可能性があるため、制度を理解しておくことが重要です。
まとめ
白内障手術の費用は、レンズの種類やクリニックの料金体系だけでなく、制度の利用によっても大きく変わります。
事前に利用できる制度を把握しておくことで、無理のない選択がしやすくなります。
見え方の希望と費用の両面を考慮して、医師とよく相談しながら自分に合ったレンズを選びましょう。
札幌ひかげ眼科・目もとの美容外科クリニックは、日帰り白内障手術に対応しております。
多焦点レンズの選定療養やAdd-Onレンズも選択でき、見え方のご希望に沿ったレンズをお選びいただけます。
白内障手術のレンズ選びに迷っている方は、ぜひ札幌ひかげ眼科・目もとの美容外科クリニックへご相談ください。
記事監修者
札幌ひかげ眼科・目もとの美容外科クリニック 院長
日景 史人

経歴
- 2005年 札幌医科大学医学部卒業
- 2007年 札幌医科大学 眼科
- 2008年 苫小牧市立病院 眼科
- 2010年 伊達赤十字病院 眼科
- 2012年 札幌医科大学 眼科
- 2016年 札幌医科大学大学院 医学博士取得
- 2016年 札幌医科大学 眼科 助教
- 2016年 アメリカミシガン大学糖尿病代謝内分泌科
- 2021年 札幌医科大学 眼科 准教授
- 2023年 札幌医科大学附属病院 眼科 病院教授
- 2024年 札幌ひかげ眼科・目もとの美容外科クリニック 開院
